神奈川ドクターズ  |  病院・クリニック・歯医者・動物病院の検索サイト

高橋 正彦 院長

MASAHIKO TAKAHASHI

患者さんとご家族が安心して暮らせるように
地域の中で連携をはかり、地域全体で支えていく

高知医科大学医学部神経精神医学講座助手、スウェーデン国立ルンド大学研究員、カロリンスカ研究所研究員を経て、東京都立老人医療センター精神科主任、国立香川大学医学部 精神神経医学講座講師、仙台市立病院 精神科・認知症疾患医療センター部長、大倉山記念病院 精神科・もの忘れ外来部長、かわさき記念病院 精神科部長、クリニック医庵たまプラーザ院長を務めた後、『たかはしメモリークリニック』を開院。

高橋 正彦 院長

高橋 正彦 院長

たかはしメモリークリニック

川崎市宮前区/犬蔵/たまプラーザ駅

  • ●精神科
  • ●内科

「もの忘れ外来」を中心に、認知症患者さんとご家族をサポート

高橋 正彦 院長

『たかはしメモリークリニック』では、認知症とそれにまつわる周辺症状について診療する「もの忘れ外来」を中心に、認知症患者さんとご家族をサポートしています。認知症は、65歳以上の方の20%近くにみられる病気で、85歳を過ぎると半数以上の方が発症します。100歳になると100%の確率で発症すると言われますから、年齢を重ねるにつれてリスクが高まる病気であることがお分かりいただけるでしょう。
これほど身近な病気であるというのに、認知症を正しくご理解いただいていない方も多くいらして、「特別な人がなるもの」とお考えになったり、「恥ずかしい」からとご自分の症状を認めたがらない方もいらっしゃいます。でも、「認めたくない」「知られたくない」と受診をためらっていては、症状が進行するばかりです。重症化してからでは、どうしても出来ることが限られてしまいますので、一緒に暮らすご家族に「何かおかしい」と感じることがありましたら、お早めにご相談いただきたいと思います。

認知症患者さんとご家族を、地域全体で支えていく

高橋 正彦 院長

認知症であるかどうかは、頭部のMRI画像を確認し、認知機能テストなどをおこなうことで診断がつき、治療法としてはお薬を飲んでいただく「薬物療法」、毎日の生活習慣を見直す「非薬物療法」の2つがあります。このうち、欧米では「非薬物療法」の高い効果が注目されていて、患者さんに対するケアの部分、非薬物的なアプローチに重点を置くようになっているんですね。治療の効果が限定的な「薬物療法」に対して、患者さんご本人が心地よく過ごせる環境を整える「非薬物療法」の方が、患者さんやご家族のQOL(生活の質)向上につながるというわけなんです。そのため当院でも、ケアマネージャーの方や地域包括支援センターなどと連携して、認知症患者さんとご家族が安心して生活できるようにサポートしています。
診察の際には、患者さんと私のほかにご家族の方、ケアマネージャーの方という感じに顔を揃えて、部屋の中がいっぱいになることも珍しくありません(笑)。患者さんと直接お話しするのは、全体の3~4分の1程度で、残りの時間はご家族が負担に感じていることなどを丁寧にヒアリングしていきます。専門用語で「家族心理教育」と言うのですが、こうした介護相談を通して、排せつのお悩みや怒りっぽい性格などが改善するようにアドバイスをさしあげるのです。当院が主体となって、患者さんとご家族を支える枠組みを作っていくことも「もの忘れ外来」の役割であり、よく言われる3分診療で実現でるものではありません。それでも私は、認知症患者さんが安心して暮らせる「地域づくり」をするというのが、何よりも大事なことだと考えています。

患者さんとご家族の生活が、より良いものになるように

高橋 正彦 院長

認知症というのは、糖尿病や高血圧といった生活習慣病と似ているところがあって、お薬に頼るばかりでなく、毎日の生活習慣を見直すことがとても大切です。たとえば、糖尿病治療では適度な運動をしたり、塩分を控えた食生活を送るように指導されますよね。それと同じように認知症の治療では、人とコミュニケーションを取ったり、趣味をいかしてモノづくりをしたり、「生きがい」を感じられる何かを見つけることが、QOLの向上につながっていくのです。
加齢を止めることができないように、認知症は年齢を重ねるにつれ少しずつ進行していく病気です。でも私たちは、患者さんとご家族の生活をより良いものにし、残された時間を幸せに過ごしていただくためのお手伝いができるはずです。認知症患者さんを支えるご家族の負担を軽くして、いかにして幸せな時間を過ごしていただくか。患者さんご本人だけでなく、ご家族のお悩みにも寄り添い、解決の道筋をつけてさしあげるのが、本当の意味での認知症治療だと思います。

正しい情報を発信することで、「認知症」に対する偏見をなくしたい

ひと口に「認知症」と言いましても、認知レベルはそれぞれに異なりますし、僅かではありますが完治が望めるものもあります。中には、認知症と診断されたけれども、実は薬の副作用だったというケースもあるんですね。いずれにしても、脳の変遷は働き盛りの40代、50代からはじまると言われますから、少しでも気になる症状がみられたら、ぜひ専門医を受診していただきたいと思います。
こうした認知症にまつわる正しい情報が、正しく認知されているかと言えば、必ずしもそうではありません。ですから、認知症について気軽に話し合ったり、正しい知識を発信していく場所が必要になるんですね。こうした問題を解決するため、すでに厚生労働省による「認知症カフェ」の設置が進められていて、私もこの近くの認知症カフェの設立に携わったり、お休みの日にカフェをまわって、地域のみなさまの疑問や不安にお答えしています。クリニックでの外来診療のほか、こうしたボランティア活動にも力を注ぐことで、認知症という病気に対する偏見をなくすことができれば嬉しいですね。

これから受診される患者さんへ

『たかはしメモリークリニック』は、「たまプラーザ駅」から歩いて10分ほどの場所にあります。
これまで普通に出来ていたことが、難しくなる。家事能力の低下や、意欲の低下、性格が変わって怒りっぽくなった、など。これらのうち1つでも当てはまることがあるなら、それは認知症が始まっているサインかもしれません。専門機関を受診してみて、「違う」という診断が出れば安心できますし、たとえ認知症と診断されても、症状の進行を遅らせるアドバイスを受けることができるでしょう。ご家族の様子に、「ちょっと違うぞ」と感じることがあればお早めにご相談いただきたいですし、年に1回健康診断を受けるような気持ちで、まずは専門医を受診してみることをおすすめします。

※上記記事は2018年11月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。

CLINIC INFORMATION